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よろず編集後記

よろず編集者を目指す井内千穂のブログです。

福島の今を訪ねるバスツアー③里山の守り人

福島県内の浜通りを国道6号線沿いに富岡町まで南下した後、バスは山間の川内村へ向かった。 川内村は震災後、全村避難を余儀なくされた。山々に囲まれた地形に守られて放射線量は比較的低かったものの、福島第一原発から30km圏内ではあるし、当時は正確な情…

福島の今を訪ねる訪ねるバスツアーその②無人の浜通り

2011年の震災当時、息子たちが既に中高生だったからか、乳幼児を抱えたお母さんたちほど放射線量に不安を感じることはなかったが、それも日々の忙しさに取り紛れていただけなのかもしれない。それよりも学校が平常通りに機能してくれることのほうが関心事だ…

福島の今を訪ねるバスツアーその①自分の目で見る

震災後の福島に始めて行ったのは昨年春。震災から5年も経ってからだった。 2011年3月11日以降、緊急支援のために多くの人々が被災地に向かい、新聞社の同僚は現場を駆け回って報道を続けた。そんな中、私は東京で家族の生活を守りつつ新聞社での日常業務をこ…

太陽の讃歌と惑星~東響コーラス30周年②

4月22日土曜日夜、東京交響楽団の今シーズンの定期公演は、なんとオーケストラなしで開幕。ミューザ川崎のステージには東響コーラスのメンバーが並び、「太陽の讃歌」の日本初演に臨んだ。 www.japantimes.co.jp 旧ソ連タタール共和国出身で現代音楽の作曲家…

アマチュア合唱団がプロオケと共演~東響コーラス30周年①

プロってなんだろう?アマチュアってなんだろう?とまだ考え続けている。 プロの東京交響楽団の専属合唱団である東響コーラスがアマチュアであると知った時は驚いたものだ。今回はこのやや特殊なアマチュア合唱団の30周年にあたり紹介することを提案し、4月2…

桜並木

そうこうしているうちに東京の桜はとっくに散ってしまい、桜前線は今、東北から北海道にさしかかっているようだ。 花々の中でとくに桜を愛でる気持ちが以前はそれほどなかったのに、心のどこかで桜が気になってしまうのはやはり日本人というものだろうか。数…

ヨーヨー・マとシルクロード・アンサンブル⑤ ヨーヨー・マの言葉

3月3日付The Japan Times掲載のシルクロード・アンサンブルの記事。 www.japantimes.co.jp 記事本体よりずっと長くなってしまった編集後記の最終回です。 今回の記事化について、エディターからの条件は「ヨーヨー・マのコメントをもらうこと」でした。アン…

ヨーヨー・マとシルクロード・アンサンブル④ 21世紀の尺八

3月3日付The Japan Times掲載のシルクロード・アンサンブルの記事のかなり長々しくなってしまった編集後記その4です。(いつのまにかもう4月ですが) アンサンブルのメンバーへのビデオ・インタビュー。3人目はもう一人の日本人アーティスト、尺八奏者の梅…

ヨーヨー・マ&シルクロード・アンサンブル③  シリアのクラリネット奏者

創設者ヨーヨー・マのほか20人のコア・メンバーにゲスト・パフォーマーなども加わるシルクロード・アンサンブル。世界各国から集まったアーティストたちはみな素晴らしく、一人一人深く掘り下げれば本が何冊も書けそうですが、今回の記事を書くにあたり、新…

ヨーヨー・マ&シルクロード・アンサンブル② 藤井はるかさんに聞く

打楽器奏者 藤井はるかさんとの出会いは昨年の10月。妹の藤井里佳さんとの打楽器デュオ うたりをご紹介した時でした。打楽器姉妹のお母様はマリンバ奏者の藤井むつ子さんです。すごいなあ・・お二人にお話を伺いながら、元・学生オケ打楽器パートだった私は…

ヨーヨー・マ&シルクロード・アンサンブル① グラミー賞の快挙

世界的チェリストの一人ヨーヨー・マは5歳でデビューし、グラミー賞だけでも既に18回も受賞しているそうですが、彼が立ち上げ、2000年から世界各国へのツアーを続けてきたシルクロード・アンサンブルのグラミー賞受賞は初めてのこと。 ・・・ということを迂…

ピアノ連弾の喜び

「ピアニストが二人いたら連弾ができるというものではない。」 公開ゲネプロの途中でピアニストの田崎悦子さんは語った。今回のゲストであるピアノデュオ ドゥオールの藤井隆史さんと白水芳枝さんから聞いた「忘れられない言葉」だという。「私もその仲間に…

再見「3.10 10万人のことば」

2011年から6年が経過し記憶の風化も指摘されるが、それでも、3.11の大震災の体験は同時代の出来事として共有されている。 その前日、3月10日には東京大空襲があった。1945年のことである。 毎年3月10日に合わせて、東京大空襲を現代に伝えるアートパフォーマ…

蝶々夫人は死なず

「蝶々夫人」は決して好きなオペラではなく、観るたびに何とも言えずモヤモヤした気持ちになるのに、つい、また観たくなるのはなぜだろう? 最初に観たのは15年ぐらい前だったか、ベルリンに住んでいた頃のシュターツオパー(ベルリン州立歌劇場)。この時の…

プロの覚悟 ~アマチュア・オーケストラをめぐって③~

このところ、アマチュア・オーケストラのことを書いたり聴いたりしたおかげで、自分の気持ちを再確認し多くの人たちと共有できたのは嬉しいことだった。 一方で改めて感銘を受けたのは、プロの音楽家の道を選ぶ覚悟というものである。 マーラー祝祭オーケス…

人の心を打つ演奏 ~アマチュア・オーケストラをめぐって②~

2月6日付The Japan Timesに日本のアマチュア・オーケストラについての短い記事を書いた。 www.japantimes.co.jp 昨年、ちょうど新聞社を辞める頃にお誘いいただいて30年ぶりにオーケストラに参加させてもらった。そのマーラー祝祭オーケストラの今年の定期演…

青春のマイスタージンガー ~アマチュア・オーケストラをめぐって①~

驚いたことに「世界最古のオーケストラ」は日本の雅楽だそうだが、南蛮人や天正少年使節の時代は別として、明治以降に「西洋音楽」を受容した日本で本格的なオーケストラができたのは大正時代のこと。プロのオーケストラに先立って、学生やアマチュアのオー…

舞台で輝くママ友

開演ぎりぎりに駆け込んだら、二人は颯爽と舞台に現れた。 ひょえーカッコイイ!! 土曜の昼下がり。立川のたましんRISURUホールでTAMAMA-DUOのピアノ連弾コンサートが始まった。200席余りの小ホールにほぼいっぱいのお客さんを前に堂々たる姿は、一緒にボラ…

中学生サミット2017その④ ダイアローグは難しい?

一泊二日にわたる中学生サミット。2日目最後のランチタイムを前に早退せざるを得なかった悔いが残り、この際もう一度、生徒たちに会いに行こうと思った。 さすがに六ヶ所村は遠いのでとりあえず横浜へ。最寄り駅から歩いて20分ほどの高台にある立派な校舎で…

中学生サミット2017その③ どうする!?核のごみ

翌朝、討論会場に移動し、この「中学生サミット」のメインイベントである中学生によるダイアローグ(対話)セッションが行われた。 今回参加したのは、横浜の中学1年女子4名と中学2年男子3名、青森県六ヶ所村の中学1年男子3名の合わせて10名の中学生達。全国…

中学生サミット2017その② 中学生の疑問にNUMOが答える

瑞浪超深地層研究所で地下500メートルの坑道から地上に戻るとすっかり日が暮れている。宿泊先のホテルへ移動して夕食後、地層処分に関するトークセッションが行われた。長い一日だ。 この「中学生サミット」は東京工業大学の学術フォーラム『多価値化の世紀…

中学生サミット2017その① 瑞浪超深地層研究所見学

新年早々、冬休みが明けるか明けぬかという週末に一泊二日で開催された「中学生サミット」にオブザーバーとして同行した。 原発の「核のごみ」の地層処分について、最先端の研究施設を見学した上で中学生なりに考えるというユニークな試みである。何回かに分…

カレンダーをめくる時

お正月休み。実家に帰ったらトイレのカレンダーが変わっていた。 2017年の新しいカレンダーではない。 父が何年も使っている相田みつをさんの日めくりカレンダーだ。 日めくりだけど、毎日めくっているわけではないようで。 ここしばらくは、いつ帰ってもこ…

愛の喜びと悲しみのクライスラー

本年初記事は1月6日付でジャパンタイムズに載った。今年も前職への感謝の気持ちを忘れず、少しずつでも書き続けていこう。 www.japantimes.co.jp 元々は、あるヴァイオリンリサイタルについて小さなお知らせ記事を頼まれサラッと書いて昨年末掲載予定だった…

年末年始帰省の旅

2017年になっている。 恒例の年末年始帰省の旅。東京に戻って我に返るのも恒例。 年々1年経つのが早くなる気がする。なんていうと年寄り臭いが、実際「ジャネーの法則」というのがあって、生涯のある時期における時間の心理的長さは年齢に反比例するそうだ。…

白熱教室2016@東工大『甲状腺検査って・・・どうなんだろう?』

日曜の昼下がり。大岡山の東京工業大学蔵前会館で高校生向けの「白熱教室」が開催された。 テーマは、東日本大震災で起きた福島第一原発の事故を踏まえ、県内の子どもたちの健康を長期的に見守るために福島県が実施している甲状腺(超音波)検査。 私がこの…

バイエルン放送交響楽団来日公演@ミューザ川崎

大学時代の先輩に誘っていただき、来日中のバイエルン放送交響楽団の演奏会に出かけた。 久々のミューザ川崎は早くもクリスマスムードに包まれている。 今回は舞台下手を見下ろす3階席だったので、舞台上のハープやオルガンあたりは死角になったものの、盛り…

ざっくばらんに話し合える場とは?~地層処分カフェに参加して

原発絡みの問題については、自分だけでは何をどう考えていいのかもわからず、無力感と絶望感に陥りがちだ。 どうしたらいいのだろう?自分にできることなんてあるのか? ということで、稲垣美穂子さんが主催した地層処分カフェに行ってきた。 chihoyorozu.ha…

核のゴミの地層処分について考える場

原発から出る高レベル放射性廃棄物をどうするのか? 数年前まで私はそんなことを意識することもなく暮らしていた。この問題の深刻さに初めて気づいたのは、東日本大震災で福島第一原発が事故を起こしたことがきっかけだから、まあのん気なものだったと恥ずか…

御宿でも黒沼ユリ子さんのヴァイオリンはひるまない

10月1日に千葉の御宿では黒沼ユリ子さんの「ヴァイオリンの家」が初めて一般公開されたはずだ。 chihoyorozu.hatenablog.com 9月30日のオープニングでは、黒沼ユリ子さんと駐日メキシコ大使や御宿町関係者のご挨拶がひと通り終わってから、ヴァイオリンの演…

御宿に黒沼ユリ子さんのヴァイオリンの家がオープン

2014年1月。紀尾井ホールで開かれた引退リサイタルの舞台でアンコールに応える前にヴァイオリニストの黒沼ユリ子さんは客席に語りかけ、突然宣言した。 「私はこのたび日本に帰ってくることを決意しました」 会場からは驚きのどよめきの後、温かい拍手が沸き…

秋を告げる金木犀

以前は金木犀の香りがあまり好きではなかった。クセのある甘い香りは主張が強すぎるような気がした。 しかし、気になる香りではあり、以前のブログにも何度となく書いていた・・・ということを今も覚えているほど、気持ちを掻き立てるインパクトがあるのは確…

安達朋博ピアノリサイタル@杉並公会堂2016その3 ~打ち上げ編~

演奏会の楽しみの中に、終演後の打ち上げというものがある。 高校時代、文化祭のフィナーレを飾る吹奏楽部の本番後、帰宅が遅いと親から叱られたのが打ち上げの最初だったろうか。大学時代はまさに「のだめカンタービレ」的な宴会を繰り広げる学生オケにいた…

安達朋博ピアノリサイタル2016@杉並公会堂その2 ~裏方編~

演奏会って何だろう? 好きな曲をネットからダウンロードしたりCDを買ったりして一人で聴くのと何が違うんだろう? と安達朋博ピアノリサイタルに行って改めて考えてしまう。 chihoyorozu.hatenablog.com 安達朋博氏の演奏を最初に聴いたのは、コンサートで…

安達朋博ピアノリサイタル2016@杉並公会堂その1 ~本番編~

なぜ私はピアノを聴きに行くのか? とよく自問する。 東京では毎日のようにあちこちで、ピアノだけでもいくつもの演奏会が開かれ、自分も慌ただしい日々、どれもこれもは聴きに行けない中で、あれではなくそれでもなく「これを聴きに行こう」と決めるのはよ…

人の世は山坂多い旅の道

先月、伯母が亡くなった。 喜寿を目前にして、短命とまでは言えないものの、今の日本女性の平均寿命より十年短い。同い年である私の母にとってもショックだったろう。しかも、病いが見つかってからほんの数か月で逝ってしまった。 この夏、病院にもホスピス…

野外劇『スカラベ』 by 風煉ダンス in 立川を目撃した

立川に野外劇場出現!! 風煉(ふうれん)ダンスによる野外劇公演『スカラベ』の初日に行ってきた。 家を出た頃、今にも降り出しそうに見えた西の空の怪しい雨雲だったが、立川に来てみると降ってなくてよかった。このところずいぶん涼しくなってきた。 立川…

マザー・テレサの選択、自分の選択

写真展以来いろいろ考えていたところへ、駐日マケドニア大使館からメールが届いた。様々な見解がある中、このたびのマザー・テレサ列聖にあたり駐日マケドニア大使館が日本国民に向けて発信したコメントをここにご紹介しておこう。 現在のマケドニアはマザー…

マザー・テレサでも出る杭は打たれる

百瀬恒彦 写真展「祝・列・聖」に行ってきた、と友人からメッセージをもらった。百瀬氏のお話も興味深かったと言いつつ、彼女はこの記事を読んで戸惑ったようだ。 www.huffingtonpost.jp マザー・テレサについて知ったのがいつだったか、もはや思い出せない…

マザー・テレサを撮った日本人:百瀬恒彦 写真展「祝・列・聖」

去る9月4日、故マザー・テレサが列聖された。 this.kiji.is 列聖に合わせて、9月1日から9月6日まで、百瀬恒彦 写真展「祝・列・聖」が東京・表参道のプロモ・アルテ・ギャラリーで開催された。 写真展に寄せた百瀬氏の言葉。 「・・・亡くなってから、聖人に…

National Day supplementという広告特集

少し振り返ると、今年の1月いっぱいで実質的に退職するまで私は、広告特集のコンテンツを編集する部署で主に大使館のPR記事を担当していました。 大使館がPRする機会として、ジャパンタイムズでは私が担当していた頃よりはるか昔から、たぶんかれこれ50年、…

江戸のジャーナリズムを垣間見る

週末。何気なくテレビをつけていたら「林修の今でしょ!講座」の傑作選をやっていて、「かわら版で見る江戸時代の大事件簿」というのがなかなか面白かった。元々は8月23日の夜に放送されたトピックのようだ。解説は、映画にもなった『武士の家計簿』の著者で…

今さらだが炊飯器でケーキを作ってみた

突然思い立ってケーキを焼いた。 何年ぶりだろう?ひょっとして10年ぶり? なぜ急にそんなことをしたかと言えば、バナナを捨てるのがもったいなかったからだ。 記事が一段落したら家の中がグチャグチャなのは毎度のことだが、部屋に漂う甘すぎる香りの理由は…

ドキュメンタリー映画『FAKE』・・・佐村河内氏から見れば

新垣隆氏についての記事を書くにあたり、やはり、物事は両面から見ないと・・・と思い、あのスキャンダル後の佐村河内守氏に迫ったという森達也監督のドキュメンタリー映画『FAKE』を観に行きました。 しかも2回行ってしまいました。というのも、「誰にも言…

エンタメとしての音楽と芸術としての音楽の違いって?

エンタメとしての音楽と芸術としての音楽の違いってなんでしょう? それは誰かが決められるものなんでしょうか? このたび新垣隆氏の記事を書くにあたり、それなりに考えてみましたが、考えれば考えるほどわからなくなります。 新垣氏自身も著書『音楽という…

『HIROSHIMA』を超えて『連祷-Litany-』へ、広島より。

ずっと気になっていた新垣隆さんのことを書く機会をいただいたのはとても有り難いご縁でした。ジャパンタイムズを辞めてから初めての音楽の署名記事です。 何回かに分けて振り返ってみたいと思います。 1.『HIROSHIMA』を超えて『連祷-Litany-』へ、広島…

起業家に会うと、ますます24時間考えさせられる

自分では決して思いつかなかったことだが、ふとしたご縁で昨夏ビジネススクールに通うことになり、その流れで、このビジネススクールを経て起業した社長へのインタビュー・シリーズを書かせていただいている。 「ビジネススクールに通った人で成功している例…

時は金なり・・・どうにかしなければ

自分の時間をうまく使うにはどうしたらいいだろう? と考えるのは、時間の管理が下手だという自覚があるからだ。どうしても早寝早起きができない。気がついたら日が暮れている。気がついたら日付が変わっている。気がついたら締め切りの前日で今夜はもう寝ら…

中世は単なる暗黒時代ではなく歴史は繰り返すのかも

ありがたいことに、前職からも折に触れて仕事をいただき、このたび8月22日付のThe Japan TimesのCareer Development特集に記事を書かせていただいた。 これは大学や学校をスポンサーとして、年に2回、新学期が始まる前の9月と3月に発行される広告特集である…

再びブログを始めてみます

ずいぶん時間がかかってしまいましたが、ようやくブログを再開できそうです。 以前のブログの続きではなく、心機一転、新しいブログを始めることにしました。 あらゆることがとっくに言い尽くされている気がしますし、読み切れないほどの活字が溢れている中…