よろず編集後記

よろず編集者を目指す井内千穂のブログです。

金木犀が見えた

今年の金木犀は視覚から入った。これまでにないことだ。 10月に入っても蒸し暑く、本来今頃は金木犀が香っているはずであることもすっかり忘れていた。温暖化の影響で少しずつ季節がずれているのだろうか?取材先の水戸市内で移動中に車の窓から、道路沿いの…

地層処分って本当にできるの?④ 異なる立場から

北海道・幌延行きに先立つ7月14日、地層処分をテーマにしたドキュメンタリー映画『チャルカ』を観た。 上映会の主催者で私にも声をかけてくれたのは、フリージャーナリストの稲垣美穂子さん。稲垣さん自身、2012年に地層処分をめぐるドキュメンタリー映画『T…

地層処分って本当にできるの?③ 幌延深地層研究センター見学

翌8月8日の朝、幌延に向かう。稚内から車で小一時間ほど。北海道縦貫自動車道が完成するのはまだ先のことのようだが、並行して走る国道40号線の自動車専用道路である幌富バイパス、豊富バイパスが開通している。幌延町役場の立派な建物の前を通って道道121号…

地層処分って本当にできるの?② 稚内へ飛ぶ

前に北海道に来たのは30年以上前の学生時代だったか。そして稚内は初めてだ。8月7日。心配していた台風にも遭わず着陸前には窓から利尻富士がきれいに見えた。 せっかくの機会なので、宿泊先に移動する前に宗谷岬に寄ることになり、稚内空港から宗谷湾の海岸…

地層処分って本当にできるの?① 「科学的特性マップ」公表

原発から出る高レベル放射性廃棄物(いわゆる「核のごみ」)をどうしたらいいのか? 日本国内で地層処分を研究している拠点の一つ、北海道にある幌延深地層研究センターを訪ねることになった。今年の初め、この問題を考えるために岐阜の瑞浪超深地層研究所を…

中学生サミット2017その⑤ 六ヶ所村からの手紙

今年の初め、「中学生サミット2017」に同行し、原発の「核のごみ」の地層処分について最先端の研究施設を見学した上で中学生なりに考えて話し合うというユニークな試みを取材したことは、以前のブログに書いた。 中学生サミット2017その① 瑞浪超深地…

もし高校生がプッチーニのオペラ『蝶々夫人』を観たら

「もしドラ」のような仮定の話ではなく、実際に新国立劇場はオープン翌年の1998年以来「高校生のためのオペラ鑑賞教室」を開催しており、毎年約1万人の高校生がオペラを観る機会を得ている。ほとんどの生徒にとっては「初めてのオペラ」だ。その中で最も頻繁…

ウェイウェイさんは今どこに

5月の半ば以降、怒濤の取材と原稿書きに明け暮れて気がついたら猛暑の残暑。北海道への一泊取材ツアーから帰ってきた翌日、二胡奏者のウェイウェイ・ウーさんのメルマガが届いた。「次は北海道!」と。そうか!ウェイウェイさんのソロデビュー15周年記念コン…

福島の今を訪ねるバスツアー③里山の守り人

福島県内の浜通りを国道6号線沿いに富岡町まで南下した後、バスは山間の川内村へ向かった。 川内村は震災後、全村避難を余儀なくされた。山々に囲まれた地形に守られて放射線量は比較的低かったものの、福島第一原発から30km圏内ではあるし、当時は正確な情…

福島の今を訪ねるバスツアーその②無人の浜通り

2011年の震災当時、息子たちが既に中高生だったからか、乳幼児を抱えたお母さんたちほど放射線量に不安を感じることはなかったが、それも日々の忙しさに取り紛れていただけなのかもしれない。それよりも学校が平常通りに機能してくれることのほうが関心事だ…

福島の今を訪ねるバスツアーその①自分の目で見る

震災後の福島に初めて行ったのは昨年春。震災から5年も経ってからだった。 2011年3月11日以降、緊急支援のために多くの人々が被災地に向かい、新聞社の同僚は現場を駆け回って報道を続けた。そんな中、私は東京で家族の生活を守りつつ新聞社での日常業務をこ…

太陽の讃歌と惑星~東響コーラス30周年②

4月22日土曜日夜、東京交響楽団の今シーズンの定期公演は、なんとオーケストラなしで開幕。ミューザ川崎のステージには東響コーラスのメンバーが並び、「太陽の讃歌」の日本初演に臨んだ。 www.japantimes.co.jp 旧ソ連タタール共和国出身で現代音楽の作曲家…

アマチュア合唱団がプロオケと共演~東響コーラス30周年①

プロってなんだろう?アマチュアってなんだろう?とまだ考え続けている。 プロの東京交響楽団の専属合唱団である東響コーラスがアマチュアであると知った時は驚いたものだ。今回はこのやや特殊なアマチュア合唱団の30周年にあたり紹介することを提案し、4月2…

桜並木

そうこうしているうちに東京の桜はとっくに散ってしまい、桜前線は今、東北から北海道にさしかかっているようだ。 花々の中でとくに桜を愛でる気持ちが以前はそれほどなかったのに、心のどこかで桜が気になってしまうのはやはり日本人というものだろうか。数…

ヨーヨー・マとシルクロード・アンサンブル⑤ ヨーヨー・マの言葉

3月3日付The Japan Times掲載のシルクロード・アンサンブルの記事。 www.japantimes.co.jp 記事本体よりずっと長くなってしまった編集後記の最終回です。 今回の記事化について、エディターからの条件は「ヨーヨー・マのコメントをもらうこと」でした。アン…

ヨーヨー・マとシルクロード・アンサンブル④ 21世紀の尺八

3月3日付The Japan Times掲載のシルクロード・アンサンブルの記事のかなり長々しくなってしまった編集後記その4です。(いつのまにかもう4月ですが) アンサンブルのメンバーへのビデオ・インタビュー。3人目はもう一人の日本人アーティスト、尺八奏者の梅…

ヨーヨー・マ&シルクロード・アンサンブル③  シリアのクラリネット奏者

創設者ヨーヨー・マのほか20人のコア・メンバーにゲスト・パフォーマーなども加わるシルクロード・アンサンブル。世界各国から集まったアーティストたちはみな素晴らしく、一人一人深く掘り下げれば本が何冊も書けそうですが、今回の記事を書くにあたり、新…

ヨーヨー・マ&シルクロード・アンサンブル② 藤井はるかさんに聞く

打楽器奏者 藤井はるかさんとの出会いは昨年の10月。妹の藤井里佳さんとの打楽器デュオ うたりをご紹介した時でした。打楽器姉妹のお母様はマリンバ奏者の藤井むつ子さんです。すごいなあ・・お二人にお話を伺いながら、元・学生オケ打楽器パートだった私は…

ヨーヨー・マ&シルクロード・アンサンブル① グラミー賞の快挙

世界的チェリストの一人ヨーヨー・マは5歳でデビューし、グラミー賞だけでも既に18回も受賞しているそうですが、彼が立ち上げ、2000年から世界各国へのツアーを続けてきたシルクロード・アンサンブルのグラミー賞受賞は初めてのこと。 ・・・ということを迂…

ピアノ連弾の喜び

「ピアニストが二人いたら連弾ができるというものではない。」 公開ゲネプロの途中でピアニストの田崎悦子さんは語った。今回のゲストであるピアノデュオ ドゥオールの藤井隆史さんと白水芳枝さんから聞いた「忘れられない言葉」だという。「私もその仲間に…

再見「3.10 10万人のことば」

2011年から6年が経過し記憶の風化も指摘されるが、それでも、3.11の大震災の体験は同時代の出来事として共有されている。 その前日、3月10日には東京大空襲があった。1945年のことである。 毎年3月10日に合わせて、東京大空襲を現代に伝えるアートパフォーマ…

蝶々夫人は死なず

「蝶々夫人」は決して好きなオペラではなく、観るたびに何とも言えずモヤモヤした気持ちになるのに、つい、また観たくなるのはなぜだろう? 最初に観たのは15年ぐらい前だったか、ベルリンに住んでいた頃のシュターツオパー(ベルリン州立歌劇場)。この時の…

プロの覚悟 ~アマチュア・オーケストラをめぐって③~

このところ、アマチュア・オーケストラのことを書いたり聴いたりしたおかげで、自分の気持ちを再確認し多くの人たちと共有できたのは嬉しいことだった。 一方で改めて感銘を受けたのは、プロの音楽家の道を選ぶ覚悟というものである。 マーラー祝祭オーケス…

人の心を打つ演奏 ~アマチュア・オーケストラをめぐって②~

2月6日付The Japan Timesに日本のアマチュア・オーケストラについての短い記事を書いた。 www.japantimes.co.jp 昨年、ちょうど新聞社を辞める頃にお誘いいただいて30年ぶりにオーケストラに参加させてもらった。そのマーラー祝祭オーケストラの今年の定期演…

青春のマイスタージンガー ~アマチュア・オーケストラをめぐって①~

驚いたことに「世界最古のオーケストラ」は日本の雅楽だそうだが、南蛮人や天正少年使節の時代は別として、明治以降に「西洋音楽」を受容した日本で本格的なオーケストラができたのは大正時代のこと。プロのオーケストラに先立って、学生やアマチュアのオー…

舞台で輝くママ友

開演ぎりぎりに駆け込んだら、二人は颯爽と舞台に現れた。 ひょえーカッコイイ!! 土曜の昼下がり。立川のたましんRISURUホールでTAMAMA-DUOのピアノ連弾コンサートが始まった。200席余りの小ホールにほぼいっぱいのお客さんを前に堂々たる姿は、一緒にボラ…

中学生サミット2017その④ ダイアローグは難しい?

一泊二日にわたる中学生サミット。2日目最後のランチタイムを前に早退せざるを得なかった悔いが残り、この際もう一度、生徒たちに会いに行こうと思った。 さすがに六ヶ所村は遠いのでとりあえず横浜へ。最寄り駅から歩いて20分ほどの高台にある立派な校舎で…

中学生サミット2017その③ どうする!?核のごみ

翌朝、討論会場に移動し、この「中学生サミット」のメインイベントである中学生によるダイアローグ(対話)セッションが行われた。 今回参加したのは、横浜の中学1年女子4名と中学2年男子3名、青森県六ヶ所村の中学1年男子3名の合わせて10名の中学生達。全国…

中学生サミット2017その② 中学生の疑問にNUMOが答える

瑞浪超深地層研究所で地下500メートルの坑道から地上に戻るとすっかり日が暮れている。宿泊先のホテルへ移動して夕食後、地層処分に関するトークセッションが行われた。長い一日だ。 この「中学生サミット」は東京工業大学の学術フォーラム『多価値化の世紀…

中学生サミット2017その① 瑞浪超深地層研究所見学

新年早々、冬休みが明けるか明けぬかという週末に一泊二日で開催された「中学生サミット」にオブザーバーとして同行した。 原発の「核のごみ」の地層処分について、最先端の研究施設を見学した上で中学生なりに考えるというユニークな試みである。何回かに分…