よろず編集後記

よろず編集者を目指す井内千穂のブログです。

フィデリオ仮装合戦

人間は自由じゃない・・脳の働きや決定論のややこしい話は抜きにしても、罪人と判定されれば拘束され、自由な身だと思っている人々各々の自由な考えだって所詮は思い込みの産物に過ぎず、その思い込みは誰かに操作されている。そんな怖ろしい舞台を観た。 ベ…

田崎悦子ピアノリサイタル「三大作曲家の愛と葛藤」

いつもながら、自分にとって行くべき音楽会は絶妙なタイミングで開催される。必ず行くべしと言われているようだ。5月26日、土曜日の昼下がり。この前の週でも後の週でも行くことは叶わなかった。 ところが、会場でプログラムと一緒に受け取った小冊子には「…

サントリーホール オープンハウス② ホールで遊ぼう!

プレビュー記事というのは罪なもので、自分もまだ見聞きしていないイベントについて、主催者側へのヒアリングやプレスリリース、場合によっては関係者へのインタビューを元にまとめるわけだが、「実際はどうなんだろう?」と心配になる。サントリーホールは…

サントリーホール オープンハウス① 急な記事

サントリーホールに初めて入ったのは、プロの演奏会を聴きに行った時ではない。開館間もない1987年の1月、所属していた学生オケの70周年記念定期演奏会の時だった。5年に一度の東京公演である。「世界一美しい響き」を目指して設計された東京初のクラシック…

桜舞い散る

早くも葉桜。 桜の季節があっけないのは毎年のことながら、今年はことのほか急ぎ足で終わってしまいそうだ。東京のソメイヨシノは、平年より9日早く、昨年より4日早い3月17日に開花して、3月24日には満開のニュースが流れていた。平年より10日早く、昨年より…

トランペット@古民家

トランペット奏者・オリパパこと織田準一さん、作曲家・オリママこと織田英子さんご夫妻に初めてお会いしたのは数年前。しおみえりこさん&橋爪恵一さんが主宰する立川のLaLaLaアーティスティックスタジオでのコンサートだった。 それ以来、ときがわ町のお宅…

マザー・テレサ写真展@上智大学

これもまたずいぶん前のことになるが・・・ 昨秋のある日、ひょっこりマケドニア大使館からメールが届いた。11月の終わりから12月始めにかけて、上智大学でマザー・テレサの写真展が開催されるという。 マザー・テレサ写真展を開催します | ニュース | 上智…

地層処分って本当にできるの?⑤ 幌延を見て語り合う

昨年8月に北海道の幌延深地層研究所を見学した直後に、都内で参加者および関係者による座談会が行われた。真夏の暑い日であったと記憶している。ずいぶん時間が経ってしまったが、せっかくの話し合いの内容を記録しておきたいと思う。 ***** A:このた…

今年も手帳と共に

2018年になっている。 昨年の正月休み明けに「2017年になっている」と書いてからあっという間に一年が経ち愕然とする。何がそんなに忙しかったのか、秋ごろからブログも更新しないまま数か月。諸々の締め切りに追われていたはずだが、そんなことばかりでいい…

金木犀が見えた

今年の金木犀は視覚から入った。これまでにないことだ。 10月に入っても蒸し暑く、本来今頃は金木犀が香っているはずであることもすっかり忘れていた。温暖化の影響で少しずつ季節がずれているのだろうか?取材先の水戸市内で移動中に車の窓から、道路沿いの…

地層処分って本当にできるの?④ 異なる立場から

北海道・幌延行きに先立つ7月14日、地層処分をテーマにしたドキュメンタリー映画『チャルカ』を観た。 上映会の主催者で私にも声をかけてくれたのは、フリージャーナリストの稲垣美穂子さん。稲垣さん自身、2012年に地層処分をめぐるドキュメンタリー映画『T…

地層処分って本当にできるの?③ 幌延深地層研究センター見学

翌8月8日の朝、幌延に向かう。稚内から車で小一時間ほど。北海道縦貫自動車道が完成するのはまだ先のことのようだが、並行して走る国道40号線の自動車専用道路である幌富バイパス、豊富バイパスが開通している。幌延町役場の立派な建物の前を通って道道121号…

地層処分って本当にできるの?② 稚内へ飛ぶ

前に北海道に来たのは30年以上前の学生時代だったか。そして稚内は初めてだ。8月7日。心配していた台風にも遭わず着陸前には窓から利尻富士がきれいに見えた。 せっかくの機会なので、宿泊先に移動する前に宗谷岬に寄ることになり、稚内空港から宗谷湾の海岸…

地層処分って本当にできるの?① 「科学的特性マップ」公表

原発から出る高レベル放射性廃棄物(いわゆる「核のごみ」)をどうしたらいいのか? 日本国内で地層処分を研究している拠点の一つ、北海道にある幌延深地層研究センターを訪ねることになった。今年の初め、この問題を考えるために岐阜の瑞浪超深地層研究所を…

中学生サミット2017その⑤ 六ヶ所村からの手紙

今年の初め、「中学生サミット2017」に同行し、原発の「核のごみ」の地層処分について最先端の研究施設を見学した上で中学生なりに考えて話し合うというユニークな試みを取材したことは、以前のブログに書いた。 中学生サミット2017その① 瑞浪超深地…

もし高校生がプッチーニのオペラ『蝶々夫人』を観たら

「もしドラ」のような仮定の話ではなく、実際に新国立劇場はオープン翌年の1998年以来「高校生のためのオペラ鑑賞教室」を開催しており、毎年約1万人の高校生がオペラを観る機会を得ている。ほとんどの生徒にとっては「初めてのオペラ」だ。その中で最も頻繁…

ウェイウェイさんは今どこに

5月の半ば以降、怒濤の取材と原稿書きに明け暮れて気がついたら猛暑の残暑。北海道への一泊取材ツアーから帰ってきた翌日、二胡奏者のウェイウェイ・ウーさんのメルマガが届いた。「次は北海道!」と。そうか!ウェイウェイさんのソロデビュー15周年記念コン…

福島の今を訪ねるバスツアー③里山の守り人

福島県内の浜通りを国道6号線沿いに富岡町まで南下した後、バスは山間の川内村へ向かった。 川内村は震災後、全村避難を余儀なくされた。山々に囲まれた地形に守られて放射線量は比較的低かったものの、福島第一原発から30km圏内ではあるし、当時は正確な情…

福島の今を訪ねるバスツアーその②無人の浜通り

2011年の震災当時、息子たちが既に中高生だったからか、乳幼児を抱えたお母さんたちほど放射線量に不安を感じることはなかったが、それも日々の忙しさに取り紛れていただけなのかもしれない。それよりも学校が平常通りに機能してくれることのほうが関心事だ…

福島の今を訪ねるバスツアーその①自分の目で見る

震災後の福島に初めて行ったのは昨年春。震災から5年も経ってからだった。 2011年3月11日以降、緊急支援のために多くの人々が被災地に向かい、新聞社の同僚は現場を駆け回って報道を続けた。そんな中、私は東京で家族の生活を守りつつ新聞社での日常業務をこ…

太陽の讃歌と惑星~東響コーラス30周年②

4月22日土曜日夜、東京交響楽団の今シーズンの定期公演は、なんとオーケストラなしで開幕。ミューザ川崎のステージには東響コーラスのメンバーが並び、「太陽の讃歌」の日本初演に臨んだ。 www.japantimes.co.jp 旧ソ連タタール共和国出身で現代音楽の作曲家…

アマチュア合唱団がプロオケと共演~東響コーラス30周年①

プロってなんだろう?アマチュアってなんだろう?とまだ考え続けている。 プロの東京交響楽団の専属合唱団である東響コーラスがアマチュアであると知った時は驚いたものだ。今回はこのやや特殊なアマチュア合唱団の30周年にあたり紹介することを提案し、4月2…

桜並木

そうこうしているうちに東京の桜はとっくに散ってしまい、桜前線は今、東北から北海道にさしかかっているようだ。 花々の中でとくに桜を愛でる気持ちが以前はそれほどなかったのに、心のどこかで桜が気になってしまうのはやはり日本人というものだろうか。数…

ヨーヨー・マとシルクロード・アンサンブル⑤ ヨーヨー・マの言葉

3月3日付The Japan Times掲載のシルクロード・アンサンブルの記事。 www.japantimes.co.jp 記事本体よりずっと長くなってしまった編集後記の最終回です。 今回の記事化について、エディターからの条件は「ヨーヨー・マのコメントをもらうこと」でした。アン…

ヨーヨー・マとシルクロード・アンサンブル④ 21世紀の尺八

3月3日付The Japan Times掲載のシルクロード・アンサンブルの記事のかなり長々しくなってしまった編集後記その4です。(いつのまにかもう4月ですが) アンサンブルのメンバーへのビデオ・インタビュー。3人目はもう一人の日本人アーティスト、尺八奏者の梅…

ヨーヨー・マ&シルクロード・アンサンブル③  シリアのクラリネット奏者

創設者ヨーヨー・マのほか20人のコア・メンバーにゲスト・パフォーマーなども加わるシルクロード・アンサンブル。世界各国から集まったアーティストたちはみな素晴らしく、一人一人深く掘り下げれば本が何冊も書けそうですが、今回の記事を書くにあたり、新…

ヨーヨー・マ&シルクロード・アンサンブル② 藤井はるかさんに聞く

打楽器奏者 藤井はるかさんとの出会いは昨年の10月。妹の藤井里佳さんとの打楽器デュオ うたりをご紹介した時でした。打楽器姉妹のお母様はマリンバ奏者の藤井むつ子さんです。すごいなあ・・お二人にお話を伺いながら、元・学生オケ打楽器パートだった私は…

ヨーヨー・マ&シルクロード・アンサンブル① グラミー賞の快挙

世界的チェリストの一人ヨーヨー・マは5歳でデビューし、グラミー賞だけでも既に18回も受賞しているそうですが、彼が立ち上げ、2000年から世界各国へのツアーを続けてきたシルクロード・アンサンブルのグラミー賞受賞は初めてのこと。 ・・・ということを迂…

ピアノ連弾の喜び

「ピアニストが二人いたら連弾ができるというものではない。」 公開ゲネプロの途中でピアニストの田崎悦子さんは語った。今回のゲストであるピアノデュオ ドゥオールの藤井隆史さんと白水芳枝さんから聞いた「忘れられない言葉」だという。「私もその仲間に…

再見「3.10 10万人のことば」

2011年から6年が経過し記憶の風化も指摘されるが、それでも、3.11の大震災の体験は同時代の出来事として共有されている。 その前日、3月10日には東京大空襲があった。1945年のことである。 毎年3月10日に合わせて、東京大空襲を現代に伝えるアートパフォーマ…