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よろず編集後記

よろず編集者を目指す井内千穂のブログです。

ヨーヨー・マ&シルクロード・アンサンブル① グラミー賞の快挙

世界的チェリストの一人ヨーヨー・マは5歳でデビューし、グラミー賞だけでも既に18回も受賞しているそうですが、彼が立ち上げ、2000年から世界各国へのツアーを続けてきたシルクロード・アンサンブルのグラミー賞受賞は初めてのこと。

・・・ということを迂闊にも私は知らずにいました。やはりアデルとビヨンセの歌姫対決に注目が集まり、日本人としてはピアニストの内田光子さんがクラシック部門で受賞したことが話題になったほかは、あまりにもたくさんあるグラミー賞の各部門のことまでなかなかフォローできません。

さまざまな歴史的、文化的、政治的背景を背負ったメンバーたちが集まるシルクロード・アンサンブルの「Sing Me Home」がグラミー賞のベスト・ワールド・ミュージック・アルバムを受賞した快挙は、トランプ大統領による入国制限命令とその差し止め請求が騒がれるこのご時世にあって、とくに意義深く感じられます。そして、アンサンブルのメンバーには日本人も二人いるのです。

2月半ばにサンフランシスコ在住の打楽器奏者 藤井はるかさんからメールが届きました。2月12日のグラミー賞の興奮さめやらぬ文面には、ちょうどこの3月4日からシルクロード・アンサンブルの活動や各国から集まった何人かのメンバーに焦点をあてたドキュメンタリー映画「The Music of Strangers」(日本題:ヨーヨー・マと旅するシルクロード)が日本公開になると書かれています。

映画「ヨーヨーマと旅するシルクロード」オフィシャルサイト

これは・・・! ぜひ伝えたい!!という気持ちが通じたのか、3月3日(金)付の絶妙のタイミングで記事を掲載してもらうことができました。

www.japantimes.co.jp

今回の記事を書くきっかけをくださった藤井さん、そして、藤井さんとの出会いにつながったこれまでのすべての皆様のご縁の連なりにもこの場をお借りして感謝申し上げます。

もちろん無条件に決まったわけではなく、担当のエディターに提案したときには「ヨーヨー・マのコメントがもらえるなら」という返事でした。ほかにも、次のように聞かれました。

  • 藤井はるか氏はグラミー賞当日、会場にいたのか?
  • ほかのメンバーにも何人かインタビューできるか?

あまたのトピックの中から紙面スペースとタイミングによって何を載せるか決めるのは担当エディターの仕事であり、文化面であっても、どういうものがニュースとして記事化されるのかを裏側から見るのはなかなか興味深いところです。エディターが出した条件をクリアーすべく動いてくださったシルクロード・アンサンブル・オフィスをはじめ関係者のみなさまのご協力に重ねて御礼申し上げます。

先方はみなアメリカにいるのでメールは当然のことながら、イマドキのネット環境とテクノロジーの恩恵を今回はとくに強く感じました。

日本公開前の映画「The Music of Strangers」を事前に観るために、以前のように大急ぎでアメリカからDVDを送ってもらうとか、間に合わないから日本の配給会社に連絡するとかの必要はなく、ストリーミングのURLを期間限定でシェアしてもらう形でPCで観せてもらいました。

インタビューも、さすがにヨーヨー・マはメールでの回答(事務所を通して)となりましたが、ほかのメンバーは、せっかくなら電話インタビューということになり、どうせなら顔を見ながらにしましょうと、今回はFacebookのMessengerのビデオチャット機能を使ってみました。ニューヨークの午後1時は東京の午前3時(!)という時差はちょっと大変ですが、お互い自宅にいながらにして、iPhone越しに笑顔を見ながら話していると、そこにいらっしゃるようで普通のインタビューとそんなに変わりません。不思議な感覚でした。音声もばっちり。まあ、テレビ会議などが普通に行われているのだから当たり前と言えば当たり前ですが、便利な世の中です。物理的に移動する必要があるのはどういう場合なのか、これからますます限られていくのかもしれません。

大きな記事になったとは言っても、雑誌の特集のようなわけにはいかず、限られたスペースに盛り込めるのはたくさんの話の中のごく一部。そこからこぼれ落ちた貴重な言葉もここにまとめておきたいと思います。

まずは、ミーハーなエディターの求めに応じて、打楽器奏者 藤井はるかさんが語ったグラミー賞現地レポート。藤井さんのほかに7人のメンバーが授賞式に出席しました。

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・・・グラミー賞は、テレビで生中継されるメイン部門の授賞式はステイプルズ・センターで行われますが、その前に隣のマイクロソフト シアターでほかの部門の授賞式があります。レッドカーペット歩いちゃいました。目がどこ見ていいかわからないぐらい、みんなすんごいお洒落してて、テレビ見てるみたいでした。アメリカのメジャーなミュージック・マーケットというのはこういうものかと思いました。シルクロード・アンサンブルの名前が読み上げられてみんなで受賞台に乗った瞬間はなかなかの感動でした。トロフィーをもらってステージで代表がスピーチしている間はそれこそ夢のようでした。「取っちゃったよー!」っていう感じ。そのあとは、写真撮影やらインタビューやらであちこち回り、外のレッドカーペットでインタビューを受けている時にうしろをアデルが通っていきました。

ワールドミュージックのカテゴリーでも歴代の重鎮がノミネートされる中でシルクロード・アンサンブルが受賞したのは驚きでした。自分たちのふるさとの作品を集めたアルバムを作ろうというのは、何年も前から上がっていた企画で、アメリカがこういう状況になるとは予測しない中でしたが、ああいう形で日の目を見るというのは素晴らしいタイミングで時勢に乗ったと思います。・・・(続く)

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