よろず編集後記

よろず編集者を目指す井内千穂のブログです。

事業

中学生が福島民報にインタビュー ~2020京都発ふくしま「学宿」その9

福島民報の渡部さんの話が終わり、今度は生徒たちから渡部さんに質問する番になった。熱心に聴き入っていただけに質問も熱心だ。 ***** Q:福島で原発事故が起きてからいろんな情報が入ってくると思いますが、上の人から「その情報だけは出すな」みたい…

福島民報の話を聞く ~2020京都発ふくしま「学宿」その8

現地の大人との対話に重点が置かれ、生徒たちによる情報発信に期待する今回の福島ツアーの中でも、地元紙 福島民報のベテラン記者との「情報発信についての対話」は、生徒たちの関心の高さが感じられるセッションだった。 2月23日、朝から盛り沢山だったスタ…

浪江町を歩く 〜2020京都発ふくしま「学宿」その7

ここ数年、ご縁あって中高生のスタディツアーにたびたび同行させてもらっている。毎度、盛りだくさんなプログラムで、いずれも学びの刺激に満ちていたが、何と言ってもその醍醐味は、生徒たちが日常を過ごす家や学校を遠く離れ、仲間と一緒に未知の土地を自…

東京電力を訪ねる 〜2020京都発ふくしま「学宿」その6

新型コロナ禍中の4月下旬。遅々として進まないこのレポートだが、こうしている間にも、今のところ電力が安定供給されている。しかし、東日本大震災後の原発停止で今や日本の発電燃料の4割を占める液化天然ガス(LNG)を全て輸入に頼っている脆弱さについて、…

廃炉の先にあるもの 〜2020京都発ふくしま「学宿」その5

楢葉町の宿舎には太平洋が一望できる露天風呂があり、素晴らしい日の出を眺めると、震災後の福島の難しい課題や新型コロナウイルスの不安も一瞬忘れてしまう。 終日福島で過ごす研修2日目は朝から盛りだくさんなプログラム。8時過ぎには宿舎内の研修室に集…

人が主役のならはCANvas 〜2020京都発ふくしま「学宿」その4

三春町のコミュタン福島を出たバスが浜通りの楢葉町に近づく頃にはだんだん日が暮れてきた。夕闇迫る中、楢葉町の施設みんなの交流館CANvasに到着。迎えてくれた一般社団法人ならはみらい事務局の西崎芽衣さんも言った通り、「田舎にあるにしてはお洒落」な…

ひとりの福島県人のおはなし 〜2020京都発ふくしま「学宿」その3

今回のふくしま「学宿」には、昨年のような京都と福島の同世代の生徒同士の交流という部分は含まれていないが、京都の生徒たちと福島の大人とのさまざまな対話の場が用意されていた。現地で暮らす方々と「対話」すること、そして、自分たちがどのようにそれ…

コミュタン福島再訪 〜2020京都発ふくしま「学宿」その2

郡山駅を出たバスが向かったのは三春町にあるコミュタン福島。田村西部工業団地内にある広大な福島県環境創造センターの敷地内に建つ交流棟で、延べ床面積約4,600㎡の立派な建物である。「福島のいまを知り、放射線について学び、未来を描く」場を目指して20…

ツアー実施の判断 〜2020京都発ふくしま「学宿」その1

ご縁がつながり、今年も京都の中学生たちと一緒に福島を訪ねることができた。 今回は、福島県のホープツーリズムの一環として企画されたもので、いただいたしおりには、福島県教育旅行モニターツアー〜福島に来て、学び、考える!ふくしま「学宿」〜という長…

京都と福島、ご縁はつながる ~京都発!「福島震災復興プロジェクト」⑥~

そうこうしているうちに年が改まってしまった。京都発!「福島震災復興プロジェクト」の福島ツアーに同行してからもうすぐ一年になるではないか。なんということ! 研修の内容自体はこれまでのブログにだいたい記しておいたが、何かまだ書き足りないことがあ…

話し合うこと、伝えること ~京都発!「福島震災復興プロジェクト」⑤~

コミュタンでの研修の最後は「交流会」となっており、「人や住む場所によって異なる放射線や福島の食べ物に対するイメージの違いを話し合い、風評被害について考える」とプログラム上は書いてあったが、要するに生徒たちのディスカッションのために2時間ほ…

福島の食べ物を贈る ~京都発!「福島震災復興プロジェクト」④~

研修ツアー2日目の「コミュタン福島」での長い一日の後半、午後2時から「福島の食べ物に対する風評被害」をテーマにワークショップが行われた。「福島の食べ物を自分の家族や友達に勧めるための手紙を書く」という課題。朝から県の施設に缶詰めで、原子力・…

コミュタン福島と語り部の力 ~京都発!「福島震災復興プロジェクト」③~

研修ツアー初日に6号線を北上し、浪江町での見学を終えた後、バスは浜通りを離れて西へ向かった。途中までグーグルマップで辿った限りでは国道114号線と459号線を通っていたはずだが、その頃にはとっぷり日が暮れて、真っ暗な山中の道では車内から何も見えな…

雪の浜通り ~京都発!「福島震災復興プロジェクト」②~

震災直後、さまざまなニュースが気になったけれど、実際に福島に来ることはできなかった。私が初めて福島を訪ねたのは2016年の春。新聞社を辞めてすぐだったが、震災から既に5年も経っていた。それ以来たびたび訪れるようになり、数えると結構な回数になるが…

ご縁に導かれ ~京都発!「福島震災復興プロジェクト」①~

何かアクションを起こすのは、誰かからの何らかの呼びかけがきっかけである場合が多いが、その呼びかけに応じるかどうかは自分の意志である。そして、アクションは、たとえ、それがささやかなものであっても、必ず新しい出会いをもたらし、次のささやかなア…

中学生サミット2018その⑤ 自分が自治体の首長だったら?

青森行きを敢行した今回の中学生サミットは例年より1日長い2泊3日の行程であった。さて、最終日。 初日の六ヶ所村での原子燃料サイクル施設の見学、2日目の東京でのNUMO(原子力発電環境整備機構)のレクチャーを踏まえて、3日目は生徒たちによる対話セ…

中学生サミット2018その④ NUMOに質問

「地層処分問題をサイエンティフィックにダイアローグ」と謳うこの「中学生サミット」のプログラムには、毎回、NUMOの担当者から地層処分の基本について話を聞くというセッションが含まれている。 NUMOというのは、Nuclear Waste Management Organization of…

中学生サミット2018その③ 六ヶ所バスケット

翌朝、再び八戸駅へ。青森県での滞在時間はトータルで24時間に満たない。せっかく日本各地からはるばる本州の北端まで来たのだから、もう少し長く現地の空気を吸いながら、昨日見聞きした真新しい知識と「物語」について、生徒たちが互いの感想や意見を交換…

中学生サミット2018その② 六ヶ所村の人の話を聴く

原子燃料サイクル施設の見学を終えて再びバスに乗る頃には日が暮れていた。5時過ぎ、六ヶ所村内のスパハウスろっかぽっかに到着。立派な温泉施設だ。そう言えば、村内で見かけた体育館や郷土館も立派だった。 入浴のために立ち寄ったわけではない。施設内の…

中学生サミット2018その① 六ヶ所村へ

昨年末、冬休みに入ったばかりの三連休に二泊三日で開催された「中学生サミット」にオブザーバーとして同行した。 「中学生サミット」は、原発で出る「核のごみ」の問題について、中学生たちが考えるというユニークな企画である。東京工業大学の学術フォーラ…

そして大人たちは ~日本・ベラルーシ友好訪問団2018報告会その④

そうこうしているうちに年が改まり、「一月は行く」という言葉の通り、早くも月末である。昨年の10月に訪ねた福島県Jヴィレッジでの日本・ベラルーシ友好訪問団2018年報告会について書き残していたことをまとめておこう。 福島の高校生たちやベラルーシの学…

パネルディスカッションは難しい⁈ ~日本・ベラルーシ友好訪問団2018報告会その③

諸々雑事に追われている間にずいぶん時間が経ってしまったが、メモを頼りに記録と記憶を残しておこう。 去る10月8日に福島県内のJヴィレッジで開催された日本・ベラルーシ友好訪問団2018報告会。前半に福島の高校生たちとベラルーシの学生たちが素晴らしいプ…

ベラルーシの学生たちの声 〜日本・ベラルーシ友好訪問団2018報告会その②

福島の高校生たちに続いて登壇したのはベラルーシの大学生たち。ベラルーシ国立大学日本語学科で学ぶ6人の女子学生が美しい日本語で語った。 「チェルノブイリの原発事故は私たちが生まれるよりずっと前で、既に歴史上の出来事のように感じていましたが、こ…

福島の高校生たちが見たベラルーシ 〜日本・ベラルーシ友好訪問団2018報告会その①

三連休最終日の体育の日、福島県内の「Jヴィレッジ」で、この夏ベラルーシを訪ねた高校生たちの報告会が開催されるというので聴きに行ってきた。 楢葉・広野両町にまたがる国内初のサッカーのナショナルトレーニングセンターだった「Jヴィレッジ」は福島第…

地層処分って本当にできるの?⑤ 幌延を見て語り合う

昨年8月に北海道の幌延深地層研究所を見学した直後に、都内で参加者および関係者による座談会が行われた。真夏の暑い日であったと記憶している。ずいぶん時間が経ってしまったが、せっかくの話し合いの内容を記録しておきたいと思う。 ***** A:このた…

地層処分って本当にできるの?④ 異なる立場から

北海道・幌延行きに先立つ7月14日、地層処分をテーマにしたドキュメンタリー映画『チャルカ』を観た。 上映会の主催者で私にも声をかけてくれたのは、フリージャーナリストの稲垣美穂子さん。稲垣さん自身、2012年に地層処分をめぐるドキュメンタリー映画『T…

地層処分って本当にできるの?③ 幌延深地層研究センター見学

翌8月8日の朝、幌延に向かう。稚内から車で小一時間ほど。北海道縦貫自動車道が完成するのはまだ先のことのようだが、並行して走る国道40号線の自動車専用道路である幌富バイパス、豊富バイパスが開通している。幌延町役場の立派な建物の前を通って道道121号…

地層処分って本当にできるの?② 稚内へ飛ぶ

前に北海道に来たのは30年以上前の学生時代だったか。そして稚内は初めてだ。8月7日。心配していた台風にも遭わず着陸前には窓から利尻富士がきれいに見えた。 せっかくの機会なので、宿泊先に移動する前に宗谷岬に寄ることになり、稚内空港から宗谷湾の海岸…

地層処分って本当にできるの?① 「科学的特性マップ」公表

原発から出る高レベル放射性廃棄物(いわゆる「核のごみ」)をどうしたらいいのか? 日本国内で地層処分を研究している拠点の一つ、北海道にある幌延深地層研究センターを訪ねることになった。今年の初め、この問題を考えるために岐阜の瑞浪超深地層研究所を…

中学生サミット2017その⑤ 六ヶ所村からの手紙

今年の初め、「中学生サミット2017」に同行し、原発の「核のごみ」の地層処分について最先端の研究施設を見学した上で中学生なりに考えて話し合うというユニークな試みを取材したことは、以前のブログに書いた。 中学生サミット2017その① 瑞浪超深地…