よろず編集後記

よろず編集者を目指す井内千穂のブログです。

桜舞い散る

早くも葉桜。

桜の季節があっけないのは毎年のことながら、今年はことのほか急ぎ足で終わってしまいそうだ。東京のソメイヨシノは、平年より9日早く、昨年より4日早い3月17日に開花して、3月24日には満開のニュースが流れていた。平年より10日早く、昨年より9日早い満開だそうだ。早く咲けば、早く散ってしまうのも仕方がないが・・まだ4月に入ったばかり。

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満開を過ぎてひと雨降れば一斉に散る花々。風が吹けば花吹雪。たいした雨風がなくても、ぽかぽか陽気の今日この頃、微かな気の流れに連れて、そこから、あそこから、はらはら、はらはら、桜が舞う。

まさに百人一首にもある紀友則の有名な和歌のとおりだ。

 

ひさかたの 光のどけき 春の日に
    しづごころなく 花の散るらむ

 

葉桜の枝にまだしがみついている花々も明日は我が身。嵐の日に耐えて生き延びようとも、大した嵐に遭わずに済んでも、いずれ散ることは避けられない。それが今日なのか明日なのか、誰にもわからない。「その時」が来ると、しづごころなく、はらはら舞い散るのである。それぞれの花の運命(さだめ)なのか。

満開の桜の季節に友人が逝ってしまった。突然の訃報が届いた自分の無沙汰が悔やまれる。それほど長いお付き合いではなかったが、ささやかなボランティアでご一緒したのがご縁で、お互いの考えを率直に話せるのが心地よかった。「いろんな考え方があっていい。自分の目で見て考えることは大事」と言って、福島に出かける私に線量計を貸してくれた。震災直後に被災地に赴いた彼女はいろいろよく知っていて、無知な私は感心するばかりだった。自身の病いのことも明るく話してくれた。食生活を見直していると。気丈な人だった。

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最後に会ったのは昨年の夏の終わり。無事に線量計をお返しして、食生活の見直しに少しでも役立てばと思い、本を贈った。あの時はまだ元気そうに見えたのに・・便りがないのは良い便りだと思っていたのに。もう一度会いたかった。

今日も穏やかな春の日。道路脇にも歩道にも夥しい花びらが散り敷いている。 それも花の一生の現実だけれど、見事に咲いていたことを覚えていたい。短すぎる花の命を惜しみながら。

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